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一緒に暮らしていくということ

20091022222157


 犬や猫が人と生活をともにするようになったのは、人がそれを望んだから。種の改良といった手の込んだことから、心を通わせることを憶えさせて依存するよう仕向けたと言ってもいい。でもそうやって彼らは人を信じるようになったのに、人は身勝手な都合でちいさな命を裏切ってしまう。
 そんな現実を分かってほしくて、見知らぬ映画監督に「映画を撮ってほしいの。お金はだすから」と声をかけたひとりのおばあちゃん。そして悩みつつ手探りしながらも人の都合だけで置き去りにされた犬や猫の行く末を追っていく監督。
 上映後のトークで監督もいっていたけれどそんな動物愛護やら趣旨に賛同して映画を応援してくれる人は多くても、ノラネコの避妊手術の際、ほとんど生まれる寸前で摘出される胎盤に包まれたまんまの子ネコたちの姿をみたいと思う人はいないだろうし、亡きご主人様をの帰りをひたすら待つ忠犬のまなざしならともかく、炭素ガスで安楽死させられるのを待つばかりの捨て犬の心許ないまなざしを映しだした映像をみたいと思う人も多くはないだろう。だから動員には結びつかないかもしれないな、と。わたしだってそんな見ていてつらくなるような悲しい映像はあえて観たいと思わないもの、普段なら。でもそれは1人でも多くの人がきちんと正面から見つめないといけない現実だし、見つめて考えることがこんな悲しいことを招いた人間一味としての責任なのだ。外国の人にイルカやクジラを獲る食文化をああだこうだ指摘されるより、「日本の犬には絶対に生まれかわりたくない」って言われるほうがつらいし、うなだれるしかないんだもの。
 映画はそんなツラくて重苦しい場面ばかりを映し出すのではなく、ひとときテレビの話題をさらった「崖っぷち犬」の飼い主抽選にメディアが集まる地元の施設で、団地で生まれた小犬たちを自分たちのお小遣いをやりくりして世話しながら里親を見つけようとする小学生の子たちや、ボランティア施設で里親捜しのために犬たちにしつけをおぼえさせようと試行錯誤するスタッフの様子やそこに我関せず、といった顔して遊びにやってくるノラネコさんの様子などユーモラスな場面もほどよくまぶされています。
 犬や猫と暮らして、あんまり好きな言葉じゃないけど「癒し」を人が得るように、どんな犬も、ネコも、そして人も、みんなちいさくていいから幸せな気持ちをお互いに感じられるような世の中になればいいのに。心からそう願ってやみません。
 大人から子どもまでひとりでもたくさんの人にみてほしい作品です。ぜひ劇場に足を運んで下さい。

『犬と猫と人間と』@ユーロスペース オフィシャルサイト
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