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2014.11.21 (Fri)

『血と暴力の国』

血と暴力の国 (扶桑社ミステリー)

 原題は「No Country For Old Men」。と書かなくてもご存じの方は多いでしょうけれど、コーエン兄弟が映画化した『ノー・カントリー』の原作です。実は公開前後に読もうとしたのだけれど、文体なのかなんなのか乗れなくて、数年ほっぽっておいたもの。久しぶりに手にして読んでみたら、なんであの時読み進めなかったんだろうと不思議に思うほど没頭して読めた。もしかして、映画を見終わったあとにはあまりにドンヨリしすぎていて、ちょっと頭が受け付けなかったのかも。
 映画がほとんど原作に忠実だったので、本の感想も拙映画ブログに記したものと大して変わらないのだけれど、ひとつ頷きながら読んだのは、もしかして映画の方にも出てきていたかも知れないけれど、保安官ベルの独白の中で「うちのかみさんはもう新聞なんか読まないという。なぜなら新聞に書いてあるニュースなんてもうニュースでも何でもないから」みたいなセリフ。
 ニュースがもはやニュースじゃないというのは、たとえば毎度お決まりの本当は目にしなくてもいいような報告ばかりで、それを読んで何かしら新しいこと、願わくばハッピーな情報をえられたりそんな機会がめっきり少なくなった、だったら読まない方がマシみたいなことかと思うのだけど、それって今の自分の気分にも通じるものがあったりして。世の中の動きに目をつぶっちゃ行けないのは分かっていても、訳の分からない政治の動きやら外交にしても、街中の事件にしても、嫌な気分になるくらいならいっそわざわざ読んで知らなくてもいいみたいな気分。映画を観たのは2011年よりも数年も前のことだけど、あの頃よりも一層何とも言いようのないドンヨリしたものをお腹に抱える常日頃だから、この不条理なドンヨリずっしり感たっぷりの本書に没頭できたのかも知れないし、もしかしたら自分もそろそろ居場所を見つけられないと感じるOld Menグループに片足を突っ込みつつあるから、余計そんなふうに思うのかも知れないけれど。

 なんてことを思っていたのが高倉健さんの訃報を知る前の朝のことだったので、ちょっと沁みているかも知れない。No country for old menか。渡り歩けるのはろくでもない年寄りだけ?イヤな世の中だね。

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タグ : 本の話 よのなか

14:57  |  本とか絵とか  |  コメント(0)

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